全国の原発ここが危ない⑨

なにより信用を無くしたのが官僚と制度=福島事故の教訓を踏まえない新規制基準&防災計画

フクシマの例:住民を守るのではなく秩序と体面を守ろうとする官僚の姿勢が、SPEEDIや米軍航空機観測データなどのデータ隠し、学校の20mSv/年基準、避難の権利の無視、東電を破綻から守る資金提供、震災がれきの広域処理、刑事告訴/告発の不起訴決定、そしてフクシマ収束前の原発再稼働で露わになりました。

・IAEA(国際原子力機関)が提唱する「5層の深層防護」は、日本にはなかった。(「電力会社は長期間にわたる全交流電源喪失は考慮する必要はない」とされていた。防災計画や訓練は10km圏内のみに限定)

・フクシマ事故を経て、新規制基準を通じて追加で4層目(過酷/重大事故時の対処策)、5層目(原子力防災)をあわてて構築している途中であり、これは「安全」基準ではないと弁明。

・自民党の政権復帰に伴い、原子力規制委員会は電力会社に従う「規制の虜」へと逆戻りの途中、わずか半年で基準を作成し狂騒的なペースで審査を進めている。

フィルター付きベント設備を設けても、過酷事故時には希ガス類は素通りで、立地審査指針の敷地境界での汚染基準を守れないため、逆に立地審査指針を廃止させたこと(いわば「逆」バックフィット)も大問題。

参考:
福島第一原発事故を予見していた電力会社技術者
無視され、死蔵された「原子力防災」の知見2012.05.31(木)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35339

使われなかったバックアップシステム「PBS」
「SPEEDI」不作動でも避難誘導はできた2012.06.14(木)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35444

「壊れない」ことにされていた原発の格納容器
このまま事故調査報告が出たら世界の笑いものに2012.06.28(木)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35542

こうして住民避難はどんどん後回しにされた
官房副長官に聞く官邸の原発危機対応(その1)2012.08.28(火)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35976

「意思決定の判断材料は与えられていなかった」
官房副長官に聞く官邸の原発危機対応(その2)2012.09.06(木)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36042

一蓮托生の関係だった東電と保安院
官房副長官に聞く官邸の原発危機対応(その3)2012.09.07(金)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36043

失敗した住民避難の真相、
ここまで分かったことと分からないままのこと2012.09.20(木)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36140
 

巨額の予算が水泡に帰した事故対策システム
原子力防災技術者が語る福島原発事故の深層(その1)2012.10.04(木
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36232

備えも訓練も吹き飛ばした判断ミス
原子力防災技術者が語る福島原発事故の深層(その2)2012.10.18(木)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36338

緊急時対応の能力がなかった政府と東電の罪
原子力防災技術者が語る福島原発事故の深層(その3)2012.11.01(木)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36449

「仏壇」と同じだった原発事故対策システム
専門家不在の調査委員会が覆い隠していること 2012.11.29(木)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36651
 

追記:現在の規制委員会についての批判はこちら。「7/18付け、原子力規制委員は自ら辞任を、抗議と辞任勧告